軽井沢のアンティークショップ ベルリネッタ軽井沢です。
予想どおり大混雑となったGWも終わり、軽井沢は束の間の落ち着きを取り戻しています。
梅雨入りが近いのか雨天のことも多いのですが、雨上がりの朝の清々しさは格別です。
当店の系列店CAFE Bのテラス席も、今の季節は虫も少なく居心地抜群!愛犬も一緒にお食事を楽しんでいただけます。新緑の軽井沢で、皆様のお越しをお待ちしております。
さて、今回のブログは......【アンティーク入門Vol.24】今季の一推し!象嵌家具の魅力と楽しみ方、です。
象嵌家具とは?
象嵌とは、「象」=かたど(る)、「嵌」=はめ(る)という言葉どおり、一つの素材に異なった素材を嵌め込んで模様を描く技法のことを言います。
金工象嵌、木工象嵌、陶象嵌など種類はいくつかありますが、アンティーク家具で使われているのは木工象嵌です。
無垢材の家具の表面に模様を彫り、その模様に沿って切り取った色の異なる木片をはめ込んで模様を描いていく木工象嵌は、写真を見ていただくとお分かりいただけるように非常に細かい作業で、莫大な手間と時間がかかる装飾技法です。
今季、ベルリネッタ軽井沢にもキャビネットやチェア、テーブルなどの象嵌家具が豊富に入荷しました。(オープン当初から人気で既に売れてしまったものも多いのですが......)
上下の写真は、レジカウンター横に置いてあるアンティークの象嵌キャビネット。天使やアカンサス模様が繊細に描かれている希少なデザインです。店舗にいらした際は、ぜひ注目してみてください。
象嵌家具に描かれる、繊細な模様
象嵌家具が生まれたのは、17世紀以降のこと。
というのも、象嵌を作るためには、ウォールナット材のように堅くて収縮の少ない上質かつ薄い突板が必要です。堅い木をスライスして薄い突板を作る技術のない時代にはあり得なかった技法なんですね。
象嵌家具に描かれる代表的な模様としては、以下のようなものがあります。
まずは先ほどご紹介したキャビネットにも描かれているアカンサス。
アカンサスは、古代ローマにおいて強靭な生命力の象徴とされていました。生命力や繁栄を表す模様として、象嵌家具にも非常によく使われています。
他にも生命力・エネルギー・成功の象徴と言われるロゼット(太陽)のモチーフや、愛を象徴する貝殻(巻貝)のモチーフ、豊穣の象徴として神聖視されるホタテ貝のモチーフも多く用いられています。
それから、象嵌細工の中でもっともよく描かれているのが、こちら。
そう、お花の模様です。描かれたお花の種類ごとに、込められた意味も異なるのだとか。
愛や美を象徴するローズのモチーフは、お部屋に一つあるだけで空間に華やぎを与えてくれます。
象嵌と寄木細工(マーケットリー)
上の写真を見比べていただきますと、天使の描かれたキャビネットと、お花が描かれたテーブル/キャビネットでは、模様の描かれ方が微妙に違うことに気づかれますでしょうか?
実は、お花模様のテーブル/キャビネットは、象嵌とよく似た技法である寄木細工(マーケットリー)によるものです。
現代では象嵌と寄木細工(マーケットリー)を明確に区別せず、総称して「象嵌」と呼ぶことがほとんどなのですが、象嵌は家具本体に模様を掘り込むのに対し、寄木細工(マーケットリー)は色の違う突板を組み合わせて絵のシートを作り出し、模様の描かれたシートを家具本体に貼り付ける技法です。
寄木細工のほうは表面に凹凸がなく、光沢感のある滑らかな仕上がりになりますね。
アンティークの象嵌家具に出逢われた際は、象嵌なのかマーケットリーなのか、描かれた模様に込められた意味などにも思いを馳せながらお気に入りを探すのも楽しいのではないでしょうか。
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