軽井沢・塩沢にあるアンティークショップ ベルリネッタ軽井沢です。
現在、店舗は冬季休業期間中。
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ヨーロッパ直輸入のアンティーク家具をはじめ、雑貨・インテリア小物・レースやアクセサリーなど......ぜひ楽しみにしていてくださいね!
当ブログでは【アンティーク入門】と題し、アンティークの豆知識を発信しています。
▷過去記事はこちら
【アンティーク入門Vol.3】違いがわかる!ヨーロッパ名窯の歴史と特徴
【アンティーク入門Vol.4】陶磁器絵付けで、最も価値の高い色とは?
【アンティーク入門Vol.5】お皿が丸い理由は?陶器のできるまで
【アンティーク入門Vol.6】陶器絵付けの秘密:転写紙の作り方、手描きの良さ
【アンティーク入門Vol.7】アンティークで叶えるテーブルセッティング術のいまと昔
【アンティーク入門Vol.8】バカラなどに見るアンティークガラスの歴史
【アンティーク入門Vol.9】アンティークシルバーウェアの魅力
【アンティーク入門Vol.10】アンティークと楽しむクリスマス
【アンティーク入門Vol.11】オールドノリタケの価値と魅力
【アンティーク入門Vol.12】アンティークフランス家具の歴史①
さて。前回の記事【アンティーク入門Vol.12】アンティークフランス家具の歴史①では、初期〜ルネッサンス〜ルイ13世様式、そして豪華絢爛なルイ14世時代のバロック様式までを見ていきました。
今回はさらにその後ーー摂政時代〜ルイ16世以降、フランス家具がどのように変化していったか掘り下げていきます。
アンティーク フランス家具の歴史②
I-17世紀〜18世紀(摂政時代〜ルイ15世時代)
17世紀前半。
ルイ14世亡き後の摂政時代においては、引き続き荘厳なスタイルが受け継がれていました。ただデザインから少しずつ厳格さが失われ、形状も丸みを帯びていくようになります。
たとえば、この時代の椅子やテーブルにはカブリオレ足(いわゆる猫脚)が用いられるようになります。
猫足は、その優美なデザインから現代でもファンが多いですよね。また、婦人のドレスのペチコートが奥に入れるように、椅子のひじかけがアサガオ型に開いた形状になっているのも特徴です。
17世紀後半、ルイ15世の時代になると、さらに女性らしく優雅な曲線デザインのロココ様式へと変化していきました。どちらかといえば男性的だった、厳格で簡素なバロック様式とは真逆の趣向です。
これには、ルイ15世の愛妾・ポンパドゥール夫人が大きく関係しています。ポンパドゥール夫人は、その類まれな美貌と知性、洗練された芸術センスによって、優雅で繊細なロココ文化を花開かせました。
またこの頃、東インド会社によって、フランスにも東洋芸術が輸入されるようになります。服飾、インテリア、絵画など幅広い分野において、貴族たちが中国風の題材を好んで生活に取り入れるようになったそうです。
ただ、ヨーロッパで好まれた「中国趣味」は、実際の中国文化を受容するものではなくイメージとして広まっていったため、インドや東南アジア、日本も含んだ「異国趣味」と呼ぶにふさわしいものでした。
18世紀後半になると、中国趣味とロココ文化が相まって「シノワズリ」として流行のピークを迎えます。
I-18世紀後半(ルイ16世時代・新古典主義)
ルイ16世および王妃マリーアントワネット時代のフランスアンティークは、すべてのフランススタイルの中でも群を抜いて人気の高いデザインです。
ポンパドゥール夫人が礎を築いたロココ文化を引き継いではいるものの、新古典主義のはじまりとも言われるルイ16世スタイルでは、特に脚の部分に大きな違いがあります。
それまで多く用いられていた猫脚ではなく、ストンと直線的で力強い脚のデザインに変わりました。ヘルクライムとポンペイ遺跡が発見されたことにより、古代ローマ、古代エジプト芸術への再帰が流行したのも一因と言われています。
後にナポレオンが登場すると古代エジプトのモチーフが多用されるのですが、ルイ16世スタイルはその先駆けとも言えそうです。
月桂樹や花のリース、古代遺跡を模した柱のモチーフ(コリント式柱など)、大理石を使用した家具などもこの時代に多く作られました。
ルイ16世の妻・マリー・アントワネットは、王室家具製作所の他にも自らお気に入りの家具職人を手元に置いて(ジャン=アンリ・リーズネル、ジョルジュ・ジャコブらの木工家具職人およびピエール=フィリップ・トミールらブロンズ職人)貴重な家具をいくつも制作しています。
豪華絢爛なヴェルサイユ宮殿とは一線を画す、彼女の美的センスとエレガンスの真髄が詰め込まれた別宅プティ・トリアノンは、フランスの優美を代表する建物として知られています。
I-19世紀(帝政時代・アンピール様式)
フランス革命後、ナポレオン帝政時代になると、威信を前面に押し出すような直線的で端正で力強い建築物および装飾が用いられるようになりました。言わずと知れた「凱旋門」がアンピール様式の代表例です。
アンピール様式では、リボンやハート型の装飾が好まれたロココ様式とは一転して、鷲やライオン、スフィンクス、蜂の装飾が好んで用いられ、また皇后ジョセフィーヌの趣味で白鳥のデザインも多く取り入れられています。ここにも古代エジプト芸術への回帰が見られますね。
この時代の多く作られたのは、後ろに反ったサーベル型の脚の椅子、古代風の寝椅子、X脚の家具などが挙げられます。色味としては深紅・黒・ゴールド・グリーン、ファブリックはサテンが好まれ、太いストライプや濃色地に小さな鉢や月桂樹のリースの飛び柄を施したものが特徴的です。素材はマホガニー、ローズウッド、サレンウッドなどの木材のほか、テーブルの天板には大理石が用いられていました。
I-19世紀後半(王政復古時代〜ルイ・フィリップ時代)
ナポレオンの失脚後、第二共和制がしかれる1848年までの王政復古時代は、ルイ18世→シャルル10世→ルイ・フィリップと続きましたが、フランス家具の歴史的観点では、ルイ・フィリップ時代のみ「ルイ・フィリップ様式」として分けて考えています。
シャルル10世時代には、まだアンピール様式を引き継いではいたものの、威風堂々たる感じが取れて優しく控えめなデザインが増えます。ドベリー公爵夫人が明るい色の木を使って象眼細工を施した家具を作り出すなどし、背もたれと肘置きが一体型のゴンドラ椅子などの新意匠も生まれています。
ルイ・フィリップ様式になると、家具などの制作は機械化が急激に進み、それまでの手作業による凝った装飾などは滅多に見られなくなってしまいます。エレガンスは忘れ去られ、良くも悪くも近代化していきます。
ただこの時代に作られた家具は質朴剛健であり、また機械化により大量生産されたため、現代においても状態よく残存している物が多く見られます。
ーーいかがでしたでしょうか。2回に渡ってアンティーク フランス家具の歴史を深ぼってきましたが、同じ国の家具であっても時代によってこれほど違うのかと驚きますよね。
ベルリネッタ軽井沢は現在冬季休業中ですが、来年春のオープンに向けて着々と準備を進めております。
フランスのアンティーク家具も色々とご用意していますので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。
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