【アンティーク入門:vol.11】オールドノリタケの価値と魅力

オールドノリタケの価値と魅力

 

 

軽井沢・塩沢にあるアンティークショップ ベルリネッタ軽井沢です。

 

当店は本年度の営業を終了し、12月1日から冬季休業期間に入りました。

今年もたくさんのお客様に足をお運びいただき感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 ※併設のカフェ『CAFE B』は12月28日まで通常営業、ホテルベルリネッタは冬季期間もご予約受付します。

 

ベルリネッタ軽井沢では、主にヨーロッパを中心に仕入れた家具のほか、マイセン・ウエッジウッド・オールドバカラ・オールドノリタケなどアンティーク食器も様々に取り扱っております。

 

中でも、特にファンが多く人気なのがオールドノリタケです。

当ブログでも過去に何度かオールドノリタケの記事を載せています↓↓↓

 

▷オールドノリタケの金下盛りのティーセット

 

▷オールドノリタケの薔薇

 

▷オールドノリタケの砂漠風影絵

 

 

 

今回は、オールドノリタケがなぜ人気なのか?その価値や魅力を深掘ります。

国内外でご活躍された元ノリタケのデザイナーで国家資格陶磁器製造技能士1級、ご自身でも現役で陶器絵付けをされている齋藤先生にお話を伺いました。

オールドノリタケとノリタケの違いは?

ーーまず最初に、基本的なところから。「ノリタケ」と「オールドノリタケ」の違いを教えていただけますか?

 

 

「オールドノリタケ」とは1800年代の終わりから第二次世界大戦前後まで、ノリタケの前進である森村組と日本陶器で作られた花瓶や置物などの装飾品と食器などの総称を言います。アンティークの世界で「オールドノリタケ」と呼び親しまれているんです。

 

 

ーーどういう点が大きく違うのでしょうか?

 

「オールドノリタケ」と「ノリタケ」では、転写紙技術の進歩や洋食器の普及など背景が大きく異なります。

 

「オールドノリタケ」の時代、明治37年以前の品は、たくさんの一陳(いっちん)盛りを一つずつ手作業で盛り上げていく盛上技法が多用されていました。この一陳盛りを使用した花瓶(中には完成まで数ヶ月かかった品も!)が多く、手描きならではの傑作で現代の品にはない魅力を感じます。これは一見の価値がありますよ。

 

オールドノリタケの価値と魅力 軽井沢
いっちんと手描きの薔薇、さらに金彩で加飾され華やかなオールドノリタケのティーカップです。

「オールドノリタケ」注目ポイントは?

 

ーー「オールドノリタケ」を鑑賞する際、注目すべきポイントはありますか?

 

ドイツの名窯「マイセン」は日本の柿右衛門様式を手本にしていました。その一方で、モリムラブラザーズ(森村組・ノリタケの前身)がマイセンのデザインに挑戦していったのはとても興味深いものがあります。

 

当時のノリタケのデザイナーは日本画家でもあったので、描く西洋の花がどこか日本画を感じさせるようにも見えます。ヨーロッパのアンティークの花柄画と比較して見ると、とても面白いと思います。

 

ーーオールドノリタケに多用されている技法には、どのようなものがありますか?

 

オールドノリタケだけではなく、世界の名窯にも見られる技法ですが、代表的な例として下記のような技法があります。

 

 

◆一陳(いっちん)盛

ケーキをデコレーションするように、ふっくらした点や線、文字を描いてゆく技法。

柿渋を染み込ませた和紙をチューブ状またはスポイト状に丸めて、中に入れた泥漿(でいしょう)を少しずつ絞り出す道具を一陳(いっちん)といいます。

 

◆金盛

焼成後、一陳盛で描き出した模様に筆で金液を乗せてゆく技法。金の浮き彫りの様に見せる効果があります。

 

◆白盛

白いふっくらした盛りです。点状になっている物の他、金盛と同じように、色付きの泥漿(でいしょう)の盛り上げを行う技法です。

 

◆エナメル盛

盛りのようにふっくらしていて、光沢があり、透明感のあるガラス状の盛上。色ではブルー、ピンク、ブラウンなどがあり、宝石盛とも言います。

 

 

この他にも「ノリタケデザイン100年の歴史」という書籍で技法について詳細に紹介されていますので、ご興味のある方はぜひ購読してみてください。 

「オールドノリタケ」の人気アイテムは?

ーーオールドノリタケは、当時どんなアイテムが人気だったのでしょうか?

 

特に人気が高かったのは日本風の陶磁器です。

 

地色に茶ぼかしを施したもの、金盛りに小菊、金ダミに白抜きの桜、金で描いた唐子など、美しく繊細で日本風な絵付けの陶磁器はアメリカで飛ぶように売れていたそうです。

 

この背景には、ノリタケ創業当時、日本国内ではなくアメリカ市場をターゲットにしていたことがあります。外国人好みの日本の骨董品・陶磁器・漆器・屏風などを日本国内から仕入れ、アメリカで売っていたんですね。

 

その後オリジナルの陶磁器を作り始め、素地を瀬戸の窯場から取り寄せ、東京・京都・名古屋の画工に絵付けをさせました。こうして、明治の職人技を活かした美しい品々が数多く生まれていったのです。

 

山水画にみられるような景観モチーフが西洋風に配置され、ノリタケの美しいボーンチャイナの白がいかされており、金下盛りとのコントラストが美しいティーセット。
山水画にみられるような景観モチーフが西洋風に配置され、ノリタケの美しいボーンチャイナの白がいかされており、金下盛りとのコントラストが美しいティーセット。

 

こちらは店頭で販売中のオールドノリタケ(1908年)のティーセットの一部。とても状態が良く、全40点からなるティーセットは圧巻。イギリスから日本に帰ってきたアイテムです。

 ※1点ものですので売切れの際はご容赦ください。11客セット、全40点セットベルリネッタ 販売価格 78,000円(+tax)

ーーオールドノリタケの中でも価値が高いとされているものはどんなアイテムでしょうか?

 

明治28年にはニューヨークに図案部を設け、在米日本人デザイナーによるデザイン画が作られていきました。

 

その中で、アールヌーボーやジャポニズム等ヨーロッパで流行のデザイン様式を取り入れた華やかなデザイン画が製作されたのですが、この時代のものは大量生産が始まる以前で現存品が少なく貴重です。

 

西洋のデザインを取り入れ、独自の凝った技法を駆使した壺や花瓶は優雅で豪華な陶磁器として現代も人々を魅了しています。

 

ーー先生から見て、アンティークのオールドノリタケの魅力はどこにあると思われますか?

 

今ではあまり見られない、光沢のあるラスター彩の発色の鮮やかさ、とてもユニークな形や絵が「ノリタケ・アール・デコ」の最大の魅力であり人気の理由です。

 

特に象の灰皿やアヒルや鴨、モダンガールの形や画は傑作です。

 

ーーオールドノリタケのデザインのルーツや、当時のデザインを詳しく知る方法はありますか?

 

当時の手描きの画帖類が100点余り収録された「デザイン画帖」が、名古屋にある『ノリタケの森』ミュージアムに常設されています。

 

多くの美しい色彩と金彩、商品と同じ盛上・金盛・白盛等の技法がデザイン画にも表現されており、美術品とも呼ぶにふさわしい内容で描かれています。当時のデザイナーの卓越した技術が見て取れる、素晴らしい内容です。

 

 

ベルリネッタ軽井沢オンラインショップ

 

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系列のカフェ CAFE B

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系列のホテル HOTELベルリネッタ

▷ベストレート保証!HPからのご予約が一番お得です。塩沢のクリムトとウィリアムモリスをテーマにしたプチホテル

 

 

系列のカフェにも一部ではございますが、オールドノリタケのティーカップなどの展示販売品がございます。

軽井沢にお越しの際ぜひお立ち寄りください。

 

インタビュー&監修
齋藤秀雄
元ノリタケの森 アーティストクラブ チャイナペインティング講師(国家資格陶磁器製造技能士1級)

元(株)ノリタケカンパニーリミテド    デザイナー