【アンティーク入門:Vol.5】お皿が丸い理由は?陶器のできるまで

 

軽井沢のアンティーク雑貨・家具ショップのベルリネッタです。

 

ベルリネッタではヨーロッパを中心に直輸入したアンティーク家具や食器・雑貨等を取り扱っており、御来店いただくお客さまによりお買い物を楽しんでいただけるよう【アンティーク入門】と題したブログを連載しています。

 

先日の記事では >>>【アンティーク入門:Vol.4】陶磁器絵付けで、最も価値の高い色とは? についてご案内しました。

 

 

ところで皆さま、そもそもお皿はなぜ「丸」が多いのでしょう?その理由をご存知でしょうか。

 

 

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その答えは.......ズバリ!丸い器は作りやすく大量にできるので、価格が安く仕上がるから。市販されている丸いお皿の多くは「ロクロ成型」という作り方で作られています。

 

  

ーーロクロ成形とは?

ロクロ成形とは、円形の製品を造る機械のこと。

 

陶芸教室などでロクロを使ったことのある方も多いのではないかと思いますが、お皿を作るには土をこねて粘土にし、ロクロに乗せて成形します。工場では人の手のかわりに「鏝(こて)」という道具を使い、回転する石膏型に坏土(陶器の素地)を入れ、金属製の鏝(こて)を押し当てながら成型していきます。

 

深さのあるカップなどは石膏型の内側に鏝が入る内鏝(うちごて)、平たい皿類は皿の裏側の形の石膏型に外(上)から鏝を押し当てる外鏝(そとごて)で作られます。

 

この方法では、一枚の器を作るのに一分もかかりません。

 

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一方、四角い皿・楕円皿等の異型皿・ポット・シュガー・クリーマー等の立物類は「流し込み成型」です。「流し込み成型」だと、なんと成型に約2時間かかってしまうんです。その為、時間的コストや手間がかかり高価になります。

 

 

ーー流し込み成形とは?

ロクロで成型できない形状のものを成型する方法。作りたい形に内部がくり抜かれた石膏型に、液体状の坏土を流し込んで成形します。膏の吸水性を利用し坏土が半乾きになった状態で石膏型を外し、固まったお皿、ポット、花瓶等を取り出します。

 

同じお皿でも成型方法で工程時間に差が出るため、値段に差も出るのですね!

 

 

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陶磁器ができるまで 

 

陶磁器ができるまでのフローは以下の通りです。

 

 

①製土 → ②成形 → ③乾燥 → ④焼成(素焼)→ ⑤施釉 → ⑥焼成(本焼)→ ⑦画付 → ⑧画付焼成

 

当記事で説明したのは②成形の段階。

 

成形後は750〜900度で素焼きをします。この段階で絵付けをするのが「下絵」です。(「上絵付け」と「下絵付け」の違いについては前回の記事に詳しく書いていますので、ぜひそちらもご覧ください。)

 

下絵が済むと、釉薬をかけて、1300〜1400度で焼成(本焼)します。本焼のあとに絵付けをするのが「上絵」で、次は800度くらいで焼成(画付焼成)し美しくデコレーションされた器が出来上がり......という手順となります。

 

 

 

ちなみに、世界一の製陶技術を誇ると言われるセーブル窯では、フランスの国有林であるフォンテンブローの森で育林された、燃えカスが少ない白樺木の節のない部分だけを燃料の薪として使用し、より不純物が混じらないように製陶しています。

 

燃料に使う白樺は、約15平米分(約10畳分)の量なんだとか!この過程を知れば、自然とコストが上がり価格が高くなるのも理解できますね。

  

 

アンティークの食器や陶磁器は、その時代ならではの華やかな文様や絵柄が魅力ですよね。ベルリネッタ軽井沢でも、つい目を奪われる美しいアンティーク食器を多数お取り扱いしています。

 

次回の記事では、⑦画付(絵付け)の技法について詳しく触れていきたいと思います。

 

 

記事監修・作図:齋藤秀雄

ノリタケの森 アーティストクラブ チャイナペインティング講師(国家資格陶磁器製造技能士1級)

元(株)ノリタケカンパニーリミテド    デザイナー

参考文献:器物語 ノリタケ食文化研究会編 中日新聞社

    

 

 

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