軽井沢のアンティーク雑貨・家具ショップのベルリネッタです。
先日の記事では >>>【アンティーク入門 vol.2】陶器と磁器の違い についてご案内しました。
今日はアンティークの家具や食器を知るに欠かせない「様式」について紐解いていきましょう。
アンティークの専門書に様式(スタイル)という言葉を見ます。
様式とは世の中が特権階級と庶民階級にわかれていた時代に特権階級が自分たちの趣味、力の誇示を目的につくり上げていった一つのトータルコーディネートと考えられます。
ルネッサンス※①以前、権威の象徴は王権や宗教的なものが非常に大きいといえます。
今回は私たちの生活空間にかかわってくる、ルネッサンス期以降、バロック時代からの4つの様式をご案内します。
ルネッサンス・・・14世紀から16世紀にかけて、イタリアを初めとしてヨーロッパ各地で起こった、大規模な文化運動。
バロック様式(16世紀末〜17世紀初頭)
バロックとは「ゆがんだ真珠」みたいな、整っていないもののことをいう言葉です。これはルネッサンスまでの非常に均斉のとれた物のつくりかた、考え方に対するアバンギャルドみたいなものではないでしょうか。
キーワード・・・雄大・秩序・過剰・豪華
デザイン・・・幾何学的でありシンメトリーデザインです。
モチーフとして貝殻デザイン、アカンサス、マスク等があります。
この時代のテーブルなどをご覧いただくと様々な場所にこのモチーフが使われています。
ロココ様式(18世紀)
ルイ15世とポンパドール夫人の個人的な趣味、東インド会社から始まって東洋交易の影響が非常にでて、シノワズリーという中国趣味が大量にでてきました。
キーワード・・・軽快·繊細·優美でエレガント、アンシンメトリー
デザイン・・・はロカイユ(貝殻の形に想を得た装飾モチーフ)、アカンサスの葉、ドルフィン、リボンとリード、シノワズリー等です。
これは建築や家具、銀器やいろいろなものに出てきます。
曲線を使った非対称な文様で女性的、かつ洗練されているスタイルです。
かの有名なポンパドール夫人が大変に曲線が好きだったのは有名です。
ネオクラシック様式(18世紀後半〜19世紀)
15世時代の中頃から崩れかけたスタイルを元にもどそうとネオクラシズムという考え方が入ってきて、ルイ16世の時代にネオクラシックが主体を占めるようになりました。
キーワード・・・アンティークであるとか田園風、繊細。
デザイン・・・ビーズ模様、玉が並んでいるようなパール模様、結んだリボンなどがあります。
ルイ16世からナポレオンの時代になり、アンピール様式が出てきます。
軍人であったナポレオンの趣味(夫人のジョセフィーヌの趣味)から派生し、本当に昔のままという極端な振幅をみせているのがアンピールです。
アールヌーボー様式&アールデコ様式(19世紀末~20世紀中頃)
「新しい芸術」を意味するアールヌーボーは神秘的なシンボルや曲線が、特徴のひとつです。
アールデコは「装飾芸術」の略称です。
→アールヌーボー
キーワード・・・エレガント、装飾的、曲線
デザイン・・・花や植物
→アールデコ
キーワード・・・シャープ、シンプル、直線的
デザイン・・・幾何学模様、機能的で合理的なデザイン
急速に進展した工業技術と結びつき、直線線を基調とするリズミカルな形態を表した、幾何学形、半円などが揚げられます。
今日に生きる西洋の様式を理解し、テーブル、椅子などのインテリアから食器までトータルで物をみることで、アンティークをみるのも楽しくなりますね。
ベルリネッタでは100坪を超える店内に食器だけではなく、ヨーロッパから買い付けてきた様々な家具をご用意しています。
家具の紋様や装飾など、歴史を感じながら店内をゆっくりご覧ください。
次回の記事では陶磁器の文様についてご案内します。
(参考文献) 食文化の背景 食空間と生活文化ラウンドテーブル 東條 衛 / 資料提供 ノリタケカンパニーリミテド